ポートフォリオの検討(2)/米株価暴落時の米債券とセクター別ETFの動きを確認
前回の記事では、現在の資産運用状況について整理しました。今回は、株価と逆相関の関係にあるといわれている債券について、株価暴落時の動きを確認したいと思います。また業績が景気に影響されにくい、生活必需品、ヘルスケア、公益セクターについても株価暴落時の動きを確認し、債券と同じような効果があるのか確認したいと思います。
前回の記事:ポートフォリオの検討(1)/セクター別保有割合【公開】
※個人的な意見を記事にしていますが、投資は自己責任でお願いします。
最近の株価の暴落局面での米国債券の動き
< 2019.11 – 2020.3 コロナ感染の暴落局面 >
S&P500は2020.2の高値から1ヶ月で、-35%急落しています。一方、US30, US10はそれぞれ+10%, +7%上昇しています。債券ETF (BLV, BIV, BND) は一旦上昇しますが、その後下落に転じています。BLV, BIVは流動性が低いので株価の急落に釣られて、一時的に下落しているように見えます。
< 2018.6 – 2018.12 米中摩擦、欧州・中国の景気減速の観測、米政治不安 >
S&P500は2018.10の高値から2ヶ月半で、-18%下落しています。一方、US30, US10はそれぞれ+14%, +5%上昇しています。債券ETF (BLV, BIV, BND)も+1%前後増加しています。
< 2007.8 – 2009.3 リーマンショック時の暴落局面 >
S&P500は2007.9の高値から1年半かけて、-57%下落しています。一方、債券の価格は安定しています。2008.9には株価が-32%急落していますが、その間、債券は+10%上昇しています。
3つの急落局面を確認しましたが、株価が急落する局面では米国債券は上昇しており、急落局面については逆相関の関係がはっきり出ています。また、株価が急落する場面でも債券の価格は安定していることが確認できました。
※コロナの時、S&P500は1ヶ月で-35%下げ、その後は急速に戻しその前の株価を簡単に超えて行きましたが、リーマンショックの際は1年半もダラダラと-57%下げ続けています。急落時に買うっと言っても、タイミングは難しいですね。1つ言えることは金融危機は危険!
最近の株価の下落局面でのセクター別ETFの動き
続いて株式市場の下落局面のセクター別の下落率について確認してみます。景気後退局面でも、景気に左右されにくい生活必需品、ヘルスケア、公益セクターは株価の下落幅が比較的小さいと想定されますが、実際のところどんな感じかのか確認してみます。各セクターの下落率については、バンガード社のセクター別ETFの価格で確認します。
セクター | バンガードETF | 組み入れ企業例: |
情報技術 | VGT | Apple, Microsoft, NVIDIA, Visa |
ヘルスケア | VHT | J&J, UnitedHealth, Pfizer, Abbott |
金融 | VFH | JPM, Berkshire, BOA, WFC |
通信サービス | VOX | Alphabet, FB, Walt Disney, Netflix, VZ |
一般消費財 | VCR | Amazon, Tesla, Home Depot, NIKE |
資本財 | VIS | Honeywell International, UPS, Union Pacific, Boeing |
生活必需品 | VDC | P&G, Coca-Cola, Walmart, PepsiCo, Costco |
エネルギー | VDE | Exxon Mobil, Chevron, ConocoPhillips |
公益 | VPU | NextEra Energy, Duke Energy, Southern |
不動産 | VNQ | Vanguard Real Estate II, American Tower |
素材 | VAW | Linde pic, Sherwin-Willams, Air Products and Chemicals |
参考:2021最新|米国株セクター分類まとめと全セクターETF一覧|ヒートマップの見方、2つの基準(GICSとICB)の違いも徹底解説
< 2019.11 – 2020.3 コロナ感染の暴落局面 >
S&P500は2020.2の高値から1ヶ月で、-35%急落している状況ですが、生活必需品(VDC)は-24%、ヘルスケア(VHT)は-27%、公益(VPU)は、-36%下落しています。一番下落幅が大きかったのはエネルギー(VDE)で-47%でした。
< 2018.6 – 2018.12 米中摩擦、欧州・中国の景気減速の観測、米政治不安 >
S&P500は2018.10の高値から2ヶ月半で、-18%下落。生活必需品(VDC)は-10%、ヘルスケア(VHT)は-16%、公益(VPU)はほぼ変わらず。一番下落幅が大きかったのはエネルギー(VDE)-30%でした。
< 2007.8 – 2009.3 リーマンショック時の暴落局面 >
S&P500は2007.9の高値から1年半かけて、-57%下落。生活必需品(VDC)は-35%、ヘルスケア(VHT)は-39%、公益(VPU)は-47%。一番下落幅が大きかったのは金融(VFH)-75%でした。
3つの急落局面を確認しましたが、景気に左右されにくいセクター(生活必需品、ヘルスケア、公益)はS&P500よりは下落率は小さくなっているものの、下落率は-10%〜-47%と依然大きく、景気に左右されにくいセクターと言っても市場・景気によって大きく影響を受けることが分かりました。
まとめ
最近の株価急落局面での米国債券およびセクターETFの動きを確認しました。株価の急落局面では、債券価格は上昇または安定していました。一方、セクターETFは景気に左右されづらいセクターであっても株価の下落幅は大きいことが分かりました。
現在は株高が続いていますが、株価が高く追加購入がしづらい状況です。購入したとしても上昇幅は限られているように思います。8月にはFRBでテーパリングの時期についての話し合いも行われるとのことなので、株の購入は控えて、現金ポジションを増やしておく、また投資するなら債券の購入を検討しようと思います。
個別の企業によっては業績が引き続き良いところもあるので、そうした企業の株が下がった時に買えるように準備しておこうと思います。
追加検討
<2009 〜 2021年のセクター別ETFの価格推移>
<2015 〜 2021 S&P500 と債券価格>
この10年の成長セクターは、情報技術、ヘルスケア、一般消費財(主にAmazon)でした。この傾向がいつまで続くか分かりませんが、いきなり今年終わるということもないと思います。こうした成長セクターの企業に投資を集中する方が効率が良いと思いますので、今後はポートフォリオの絞り込みを進めて行きたいと思います。急落時からの回復局面ではセクター関係なく有力企業の株を購入すれば良いと思いますが、株価が元に戻った後は伸びしろが限られるので、そうした株は売却し、成長セクターへ振り向けるようにしたいと思います。
この10年株価が大きく上昇している一方で、債券価格は大きく変わらないので、債券の購入は株価下落リスクが高い時の一時的な投資先として考えたいと思います。
※個人的な意見を記事にしていますが、投資は自己責任でお願いします。